高校生ジョブシャドウイング 2017 in 横浜


(概要)
昨年に引き続き、今夏も聖光学院高等学校、洗足学園高等学校の生徒110名を対象に、ジョブシャドウイング・プログラム(※)を提供いたしました。本年のプログラムでは特に、社会人の多様な働き方やそれまでのキャリア選択の経緯などに触れることで、目の前の選択を行う際には周りに流されるのではなく、しっかりと自分自身の「目標」や「価値観」に従うこと、そしてその根拠となる「原体験」を持つことの重要性について考えてもらうことをゴールにプログラムを企画しました。

※ジョブシャドウイング・プログラムとは、高校生・大学生が社会人に一日密着し、実際の「仕事」をリアルに体感してもらうキャリア形成支援プログラムです。働くこととはどういうことか?社会人はどのようにして働いているのか?といった「仕事」に対するさまざまな疑問を解決し、高校生・大学生がよりリアルに、将来のキャリアの多様な可能性について認識するきっかけを提供する目的で運営しています。
JUKEのジョブシャドウイング・プログラムでは、生徒の学びを高めるため、仕事見学(職場訪問)だけではなく、事前・事後の勉強会を実施しています。ここでは、7月15日、9月2日に実施された「事前勉強会」「事後報告会」の様子をご紹介します。

◆◇事前勉強会(7月15日実施)◇◆
事前勉強会は、ジョブシャドウイングの訪問する企業や団体についての理解、また生徒が自身を振り返る場として設け、当日に明らかにしたい「問い」を持ってもらうことを目的としています。

(1)アイスブレイク
まずは同じ訪問企業・団体先のメンバーと顔合わせをし、アイスブレイクとして他己紹介を行いました。2人1組で相手の情報を引き出し、引き出した相手の情報をチームで共有するというものです。慣れない環境の中、最初は無口だった生徒がだんだん笑顔になっていく姿が印象的でした。

(2)グループワーク① 選択の基準ついて
最初のワークとして、物事を決める際の判断基準についてお話ししました。最初に「訪問先企業・団体で働きたい人?」と問うと、”どちらでもない”という声が圧倒的でした。ではなぜこういった状態が発生したのか、グループごとに議論してもらい、選択には「相手」と「自分」、両方を知ることが大切である、ということを確認してもらいました。これは選択する際に人が無意識に行っていることで、どちらでもないという現象がなぜ起きたのかを生徒たちにはしっかり理解してもらったうえで、相手と自分のことを知る大切さを確認してもらいました。

(3)グループワーク② 訪問先企業・団体のビジネスモデルキャンパスシートを作成
このワークでは、訪問先企業・団体の理解を深めるために、訪問先の、ビジョン、提供している商品やサービス、顧客、商品やサービスが顧客に届くまでの工程を、シートにまとめてもらいました。苦戦しながらも生徒同士で話し合い、時折カタライザーの手も借りながらワークを進める姿がありました。
※カタライザー:事前勉強会・事後報告会において、参加者の学びをサポートする社会人ボランティア。

(4)グループワーク③ 質問リスト作成&カタライザー交流会
最後にこれまでの話し合いやワークで出た疑問や、社会人に聞いてみたいことなどを質問リストにまとめました。そして幅広い業界の方々がカタライザ-として参加していただいている折角の機会でしたので、生徒の視野を広げる、また訪問の際の質問の練習としてカタライザーと生徒の交流会を実施しました。積極的にカタライザーの方に質問をし、真剣にメモを取る生徒の姿が印象的でした。

◆◇訪問◇◆
今年は、110名(聖光学院66名、洗足学園44名)の生徒がグループに分かれて、合計27社の企業・団体に訪問させていただきました。訪問先では社会人の方に一日密着し、仕事風景を見学したり、社会人の思いを直接聞いていきました。生徒からは、「訪問する前はずらっと机や椅子が並んでいる殺風景なオフィスをイメージしていたが、実際に訪問してみると、アットホームな雰囲気だった」などの声があがり、仕事に対するイメージが良い意味で変わったという意見が多かったことが印象的でした。

◆◇事後◇◆
事後報告会では、事前勉強会の内容も踏まえながら、訪問を通じて感じたことや印象に残ったことをまとめ、訪問先の魅力をチームごとに発表しました。さらに、選択、原体験と価値観のつながりを意識してもらうことを目的に、他の参加者の考えていることと⾃分の考えを比較し、自分自身のキャリア観を整理するワークショップを行いました。

(1)発表準備
事後報告会は、実際に訪問で見聞きして得た知識を整理し、発表の準備をしてもらうところから始まります。① ⽬指す世界(世の中に提供する価値、ビジョン、② 提供している商品・サービス、③ 社会における役割、④会社のなかにある職種、仕事の内容、⑤職場の雰囲気、⑥社員の働き⽅、⑦そこで働く⼈について紹介、7つを模造紙にまとめ、発表資料を作成しました。
同じフォーマットを基にしているなかでも、チームごとに発表の仕方には工夫が見られ、意欲的に発表準備に取り組んでいる姿が印象的でした。

(2)発表
発表では、自分たちが見たり感じたりした訪問先の魅力を堂々と語っていました。そして発表を聞く生徒は、6つの項目で他の訪問先を評価し、生徒一人ひとりが、自分は様々な企業・組織のどのようなところを良いと思ったのかを分析していきました。

(3)振り返りワークショップ
発表の時間を通じて、⾃分が魅⼒的に感じた企業や⼈につ いて、カタライザーも交えたディスカッションを行いました。選択、体験と価値観のつながりを意識しながら、⾃分が評価シートの中で最も重要視すると考える項目、魅⼒的と感じた企業・団体や⾃分が最も共感する⼈の価値観と⾃分の原体験と絡めながら、一人一人の考えを共有しました。
訪問を通して思ったことはもちろん、訪問する前から思っていたこと、事後報告会での発表を聞いて感じたことなど、自分が持つキャリアに対する価値観と経験を交えながら整理していきました。
一人では考えきれないことも、高校生同士やカタライザーからの問いかけを新鮮に感じながら、素直に自分と向き合いより深くキャリアについて考えることができたと思います。

今年の高校生ジョブシャドウイングも、聖光学院、洗足学園両校からの生徒の参加人数が計110名という大規模での開催となり、例年以上の盛り上がりを見せました。参加した生徒も、初めは慣れない環境や初めて体験するワークショップに四苦八苦していたようですが、最後は、チームで協力し合いながら堂々と自分の意見を述べたり、お互いに自分の将来像を語り合うことが出来るような雰囲気で幕を閉じることが出来ました。

今回、ジョブシャドウイングに参加した生徒達は、高校1・2年生の大切な進路選択の時期に差し掛かっています。今回のジョブシャドウイングの経験が、将来のキャリアを意識し始める最初のきっかけとなれば幸いです。

最後になりますが、ご参加いただいた生徒の皆さま、保護者の皆さま、カタライザーの皆さま、受け入れ先としてご協力くださった皆さま、この度は誠にありがとうございました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
NPO法人JUKEでは、高校生、大学1・2年という早い段階からキャリアについて自ら考え、行動するきっかけを提供するため、今後もより多くの高校生・大学生向けにジョブシャドウイングを提供していきたいと考えております。引き続きご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。

文責:松下泰之(明治大学 政治経済学部 4年)

EVENT INFO:

イベント名>>
第6回 高校生ジョブシャドウイング 事前勉強会・事後報告会
開催日時・場所>>
2017年7月15日(土)/ 9月2日(土)13:00~17:00
聖光学院高等学校
参加人数>>
高校生(聖光学院) 66名 / 高校生(洗足学園) 44名
カタライザー 41名、社会人スタッフ 4名、学生スタッフ 3名

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