JUKE BOX #005

崔 智英 さん
韓国出身。韓国の理系学生向けプロジェクトで来日し、広島大学工学部でバイオを専攻した後、東京大学大学院にて生物化学の研究に励んだ。弁理士を目指していたが、大学院時代のビジネスプランコンテストへの参加等をきっかけに、金融関係の仕事に就職し、現在活躍している。


Q1.今はどんな仕事をされていますか。
今は、金融関係の仕事をしています。お客様の投資に関わるポートフォリオを分析してアドバイスをするために、あらゆる商品を扱い、幅広い知識を学び、いろんな人と仕事が出来、いろんなスキルが身に付ける事が出来る部署です。

※ポートフォリオ:
金融や投資の分野において、様々な異なる種類の運用資産の構成状態のことをいう。


Q2.学生時代をどう過ごしていたのですか。
私は、韓国出身で高校までは韓国の学校に通っていました。中学校まで自分は文系だと思っており、そのころの夢は、外交官・教授・弁護士でした。ただ、高校は、縁あって競争率の高い特殊校のサイエンスハイスクールに進学することができたんです。授業はすごく優秀な人ばかりでとても大変で、「この人たちとは戦えない、スタート地点が違いすぎる」と思いました。周りの成績が良すぎて、苦しかったです。「同じことをやっていても歯が立たない」と感じました。そのころ、ちょうどヒトゲノムが解明され、これからはバイオの時代と言われていて、この分野であれば、周りとのスタート地点も同じで、興味もあり、文系要素も強く、「自分に合っている」と思い、バイオの勉強を頑張ることにしました。

また、ちょうど同じ頃、先生が「これからは弁理士の時代だ」という話をしていたので、弁理士という職業を調べてみて、特許を扱う仕事だと知りました。昔の夢の一つが弁護士だったこともあり、自分に向いていると思い、「バイオの弁理士になる」と新たに将来の夢を決めました。弁理士になるために、日本へ来て、バイオを猛研究し、アレルギーに関する特許も取りました。自分が特許を出願する側になれば、弁理士になった時に発明者側の気持ちも分かるのではないかと考えていたからです。


Q3.なぜ、そこまで勉強していながら弁理士にならなかったのですか。
大学院時代が大きな転機となりました。そのころは、研究よりも他のことに興味を持つようになり、ビジネスプランコンテストに出たりしました。また、大学院1年だったので、就職も視野に入れていました。「弁理士になる」という目標に向けて、「勉強を続けて博士に行き、特許を発明する側の立場を深く理解する」か「特許事務所や製薬会社での特許に関わる仕事に就く」か、という選択肢を考えていました。

しかし、一緒にビジコンに出た仲間から「僕は弁理士の資格を持っていて仕事内容も知っているが、仕事の幅が限定的で、君には合わない仕事だと思うよ。」と言われ衝撃を受けたのです。そこで、改めて自分の夢について考えるきっかけを得ました。


Q4.どうして金融の仕事に就職することになったのですか。
色々悩んでいた頃、新聞を見てみると、紙面では、大きく金融会社が取り上げられていました。私の知らないすごい世界があったんです。そもそも、自分が弁理士になりたい理由は「文系と理系をつなぐ仕事をしたい」という思いからだったので、「他の仕事でもそれを実現できるものはあるのでは?」と考え直し、そこで思いついたのが投資でした。弁理士になったら、人の特許を守ることは出来るけれど、その発明に投資することによって、より多くの人がその発明品を知って、利用できる環境を作ることの方が人々に貢献し、価値のあることだと思ったのです。

そして、きちんと技術まで知っている投資家がいたら、利用者も安心できると思いました。また、自分が投資をすることで、理系の自分が知らない経済や会社を見る力を養えたり、自分が当時欲しかった、知識・将来のための資金・将来のための優秀な方とのネットワークを得られると思いました。そこで、夢を弁理士から、投資の分野に変えて就職しました。


Q5.弁理士ではなく金融関係の仕事に就職し、今、満足していますか。
夢を変えて就職したことには、仕事内容やお給料の面でも満足していますが、今の自分には満足していないです。入社したときには、3年で今の会社を辞めようと思っていました。ベンチャーキャピタルのような大きな会社でたくさんの経験をし、知識を身に着け、次のステップに進みたいと思っていたのです。ですが、まだ次のステップに進めてないんです。だから今は、まさに新たな転換期で、次のステップに進もうと思っているところです。


Q6.最後に、学生へのコメントをお願いします!
若くて、何も失うものがない学生のうちにこそ、いろいろやりたいことに挑戦してほしいです。すべてを捨てて、新しいものに挑戦するとか、ベンチャーを立ち上げるとか。社会人になるとリスクも大きくなり、挑戦するのが難しくなりますからね。

尊敬する上司に、「エリートは偉くなれない。他の人がやらないような大きな挑戦をしてこそ大きな評価をえられるのだ。」と言われたことがあります。だからリスクも大きいです が、新しいことに挑戦していきたいです。私がいつも心がけていることは、「あえて周りの人と違う道を選ぶことで、ナンバーワンじゃなくてオンリーワンになりたい」ということですね。周りと違うことをするからこそ、周りよりも価値のある人間になれると思います。


 
 
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