20 10月 JUKE BOX #003
辻本 知範 さん
東京大学大学院 工学系研究科修了。学生時代はアメリカンフットボール部に在籍。大学院時代には地質工学に関する研究を行う傍ら、STeLA(理系学生による国際団体)の運営に携わる。同院在籍中に弁理士試験に合格。大学院修了後は株式会社ディ・エヌ・エー(DeNA)に入社。モバゲーのマーケティングや中国での拠点立上げ等に従事。
Q1.どのような学生時代を送っていたのかを教えてください。
大学時代はとにかくアメフト漬けの生活でした。単位をとるよりも部活優先で、勉強はあまりしていなかったですね。部活引退後は、一旦就職活動もしたんですが、自分は理系だったし親が研究者だったこともあって、大学院に進みました。院では地質工学に関する研究をしました。ですが、半年で研究というものが自分には合わないと気付きました(笑)。一方で、日本の研究室の閉鎖性に課題を感じるようになり、技術とビジネスを繋ぐようなものに興味を持つようになりました。そこで、弁理士の資格をとったり、STeLAという各国の理系学生を集めて合宿や議論を行うような団体で活動をしていました。
Q2.今は、どのようなお仕事をしているのですか。
DeNAに新卒で入り、最初はモバゲーのマーケティングを担当しました。データからユーザー動向を把握したり、エンジニアやデザイナーなどと話して物事を進めたり、ユーザー対応をしたり、企画の矢面に立って何でもする感じですね。その後、中国に行って現地で拠点を立ち上げる仕事をしていました。訳あって一旦会社を辞めていたんですが、またDeNAに復帰する予定です※。
※2014年5月のインタビュー収録当時。
Q3.学生時代の専門である地質工学や、弁理士の資格を活かした仕事に就こうとは思わなかったのでしょうか。
元々は、技術とビジネスの交差点のようなところで、就職先を探そうと思っていたんです。で、最初は弁理士の資格を活かした知財関係の仕事をしようと思ったのですが、技術職として働いて専門性をもたないと、弁理士としてバリューが出せないことに気づきました。また、弁理士を活かした就職先として特許事務所もあったのですが、明細書を書く仕事が大切だとは分かりながらも、若いうちにするのは気が進みませんでした。技術職や特許事務所での仕事が自分には合わなそうだな、と漠然と感じたんですね。
Q4.では、実際に今のお仕事をどのように選んだのですか。
ゼロベースで考えることにしました。つまり、理系院生であることや、技術マネジメントや資格を活かした仕事、といったことを一旦全部忘れることにしたんです。
過去を思い返すと、学部時代の就活で商社や銀行などの大手に勤める先輩のOB訪問をした際に、少し違和感がありました。既存のお金を稼ぐ仕組み・システムの中で大きなプロジェクトを回している先輩たちを凄いなと思う一方で、自分がやるイメージが湧かなかったのです。大手企業では、その企業が過去に確立してきたビジネスの枠組みを最大限に活用してプロジェクトを回すことが求められるけれども、どちらかと言えば自分がやりたいのは「一から自分が決めてガンガン進めること」だなぁと。
そこで、自分が物事を一から推進できる「鍛えられる環境」をベースで仕事を考えるようになりました。その観点で、プロジェクトのサイクルが短く多くのフィードバックが得られるところ、売上が伸びて人手の足りない勢いのあるところに行こうと思うようになりました。で、それらに合致するIT業界で仕事を探し、最終的には、会社の文化や社員の雰囲気が自分に合っていたDeNAに行くことにしました。
Q5.違和感の理由を探って方向転換したのですね。その選択に今は満足していますか。
「鍛えられる環境」という点で非常に良い選択だったと思います。仕事はとてもきつかったし、スピード感や心構えなどが全く異なっていました。就職までは「自分はデキる」と思って天狗になっていたんですが、その鼻はポッキリ折られてしまいました(笑)。
Q6.最後に、学生へのコメントをお願いします!
人それぞれ考え方は違うと思うので、たくさん悩めば良いと思います。悩む点では2つのポイントがあります。1つは、意思決定の期限を決めること。その期限まで悩んで、その期限までの情報をもとに、決めれば良いと思います。もう1つは、一旦腹を決めたら、選んだ道を正解にする努力をすること。「こっちを選んでよかった」と自分でも思える程にやりきることが大事です。
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