22 7月 高校生JS in 聖光学院 事前勉強会 (2012)
[当日の流れ]
1) 開会
2) 自己紹介/目的意識の共有
3) ステークホルダー作成
4) 質問のリストアップ
5) 発表
6) JS当日の質問リストアップ
7) 当日の注意事項
8) ビジネスマナー
9) 閉式
1) 開会
7月22日、日曜日に聖光学院にてジョブブシャドウィングに向けての事前勉強会が開催されました。司会からプログラム概要を説明させて頂き、参加者はまだ少し緊張した様子でお話を聞いていました。
今回はJUKEとして初めての試みとなる高校での開催であり、JUKE兼ねてからの目標であった「より早い段階からのキャリア選択」の提供が実現できることとなりました。
「今まで将来について何も考えてこなかった。だからこの機会を利用して自分についてもう一度考えてみるきっかけにしたい。」
「小さい頃の夢は宇宙飛行士になることでした。ただ、現実的に考えてみた時、採用の枠など特に決まっているわけでもなく、諦めかけていた。」
「父親が起業しており、自分の好きなことを仕事にするためには起業するしかないと言われている。起業するとはどういうことなのだろう?」
このようにそれぞれが将来について考え、その答えを出すきっかけのひとつを提供することで、参加者をサポートしたい。自分一人では知ることのできなかった「キャリア」、とは一体どういうものなのか、肌感覚で体験させてあげたい。そんな聖光学院様とNPO法人JUKEの願いから、このプログラムが始動することとなりました。
2) 自己紹介/目的意識の共有
ここでは、スタッフを始め参加者の学生のみなさまと、このプログラムに対する目的意識を共有しました。
「小さい頃夢だった仕事について知る機会が持てて、これはチャンスだと思いました。純粋に好きな事を仕事にすることはできるのか?と疑問に思っていたので。」
「このまま普通に就職したら、自分の好きな事はできないんじゃないですか?」
「自由にのびのびと働けると言われている中小企業で働く人を自分の目で見てみたいと思ったんです。」
最初は少しぎこちない様子でしたが、お互いの想いを共有した事で、それぞれがプログラムの目的を再認識し、ジョブシャドウィングへの心の準備ができたようでした。
3) ステークホルダー分析
ステークホルダー分析とは、参加者それぞれの訪問先が、社会にどのような価値を提供しているのかを理解し、そこから参加者が興味(質問)を引き出して当日へ臨めるようにと設定したグループワークのことを指します。
ワークの意図として、単に参加者に事業内容を理解してもらうことだけをゴールとしたものではなく、そこにどういった価値があるかを可視化して具体的にその根幹は何か、というところまでを理解するところまでも目的としています。
今回のジョブシャドウィングする訪問先ついての講義を、グループに分かれて行いました。参加者は事前にリサーチして、積極的にそれぞれの担当の社会人のカタライザーに質問したりしていました。大学生のカタライザーも自分の高校生だった頃のことを交えて会話をし、どのグループも盛り上がっていた様子でした。(カタライザーとは参加者にアドバイスをし、グループワークなどの進行をサポートするJUKEの社会人・学生のことを指します。)
4)質問内容のリストアップ
ここでは、先ほどのグループワークで話し合った各ジョブシャドウィングの訪問先に対しての質問、なぜその質問に至ったか、当日どんなことを聞いてみたいかなどを改めて紙に書き出し、次の発表の準備にかかりました。
参加者はあらかじめ自分でリサーチした時の訪問先のイメージと、グループワークを終えてからのイメージとでは、印象が大分違うようで、より深く各訪問先について知ることができたようでした。グループワークをすることによって新たな疑問や問題意識も生まれたようで、それぞれがしっかりとワークシートに質問として反映していました。
5)発表
グループワークの後、各ジョブシャドウィングの訪問先についてのプレゼンを行いました。自分のジョブシャドウィングの訪問先はどんな所か、話し合いの中で何を疑問に思い、そこで何を聞いてきたいと感じたかについて、参加者は話し、且つ積極的に質問し合うなど非常にレベルの高い発表の場となりました。
トップバッターは、最初に手を挙げてくれた、東京大学大学院の荒川/小紫/小泉研究室へジョブシャドウィングに訪問する生徒から発表が始まりました。
【東京大学大学院、荒川/小紫/小泉研究室】
荒川/小紫/小泉研究室では、電気推進やビーミング推進といった宇宙機用非化学推進についての研究が行われています。
「小さい頃からこの分野の仕事にあこがれていました。でも、国からお金をもらっている分、税金の無駄遣いだと言われることも多いのではないかと思っていたんです。
でも、小さい頃から非常に興味のある仕事で、実際に研究室で働く人のモチベーションや、自分の好きな事を仕事にすることのできた人の話を聞いてみたい。」
と参加者は話していました。
例えば、ロケットを飛ばして何になるのか?と考えたとき、
人類全体に恩恵がある、と言われても、どこかぼやっとしていて、実は私たちの身近なところでその研究の成果が発揮されていることに、気付きません。
UNIQLOの新しい風通しのよい服だとかが良い例で、実は宇宙研究によって生まれた物は案外私たちの日常生活に多く取り入れられているのです。
次に、戸塚アーキテクツです。
【一級建築士事務所 戸塚アーキテクツ】
戸塚アーキテクツは依頼者と施工業者等の間に立って、多くの要望を上手くすり合わせながら建築物をつくっていくことを仕事にしています。
「元々、依頼通りの製図を予算内で作成したりするものだと考えていましたが、そういったイメージよりも、人との関係性の方がより重要であるということを知りました。」
そもそも個人経営の会社である場合、経営から現場に立ち会うところまで、その作業は全て一人で責任を負って行います。その分、大変なことも多く、毎回の仕事を着実にこなし、信頼関係を築いて行かなければ次の仕事に繫げる事が難しい。だからこそ、関係者のニーズを出来る限り汲み取る事が必要で、一人ひとりに対して真剣に向き合うことがなによりも大切なことであると、認識しました。
当日の質問として、人との関係性について、どんな所に気を付けているかなどを聞いてみたいと言っていました。
次に、コトラボ合同会社です。
【コトラボ合同会社】
コトラボ合同会社は、寿町に若者を集めることでこの街を再び活性化させるための事業起こしを行っています。
寿町はかつて日雇い労働者の街でしたが、時が経ち、今や人口の50%以上が65歳という街になってしまいました。65歳以上が人口の半分ということは、日本の平均的年齢構成の10年後に相当し都心部における限界集落となっています。昔はにぎやかだった宿や食堂は閉まり、人々の暮らしは日々苦しくなる一方だと言われています。横浜のすぐ隣と、立地条件も良く、上手く街を活性化させることができれば、きっと活気になるはずなのです。
そこで、例えばこの街にあるホテルを外国人観光客や若い人に対して安く提供すれば少しでも街に若い人が集まって地域の活性化に繋がるのでは?というアイディアが生まれました。
参加者からは、この事業は誰の問題意識から始めたのか、そもそもなぜ地域活性化が「宿」だったのか、それに利益はどうやって得ているのかなど、特に経営方法について沢山の疑問が生まれたようでした。
次にオイシックス株式会社です。
【オイシックス株式会社】
オイシックス株式会社は農家から直接新鮮で安全な野菜をインターネットを通じて提供する、食品通販の会社です。
「一見すると、単純にこの企業が私たちに売っている物は、野菜の鮮度、それに伴うおいしさの部分しか見る事はできません。でも、よくよくこの企業について調べてみると、農家さんと個別に契約する事によって、より厳選した安全な食材を売り、更にその農家さんに消費者の声を届ける事によって彼らのポテンシャルを高めている」、ということでした。
オイシックスらしさを成り立たせている物とは何だろう、と考えた時にそれは、よりニーズに応えた野菜を栽培する農家さんと、その野菜について評価をする消費者と、その双方を繋ぐオイシックスで、「人」を生かし、農家のポテンシャルを伸ばすという企業であることがわかりました。
当日は、「競合他者サービスとの違い」について聞いてみたい!と話していました。
上記のように、どのグループも高い問題意識を持ってプレゼンを行っており、事後報告会がますます楽しみですね^^!
9)ビジネスマナー
ジョブシャドウィングの訪問先での当日の振る舞い方、挨拶の仕方など簡単なビジネスマナーについて説明がありました。
10)閉会
どの参加者も各自の質問がクリアになったようで、当日が楽しみだと話してくれました。
というように、今回初めての高校生とのプログラムは、ジョブシャドウィングの訪問先を始め、聖光学院高校様、そして何よりも参加者のみなさまによって実現できた事をスタッフ一同本当に嬉しく思っています。
事前勉強会の内から大学生にも負けないレベルの高いものとなり、ジョブシャドウィング当日や、事後報告会が今から楽しみです!!
私は今回の事前勉強会を企画するに当たって、自分自身の高校生時代のことについて思い返していました。当時父の都合で海外の学校に通っていた私は、いつも両親や先生方の導いてくださる方向を当たり前のように歩いていて、特にそれを疑問に思うこともなく、大学生活を迎えました。
周りと同じように、特に大きなやりがいを感じたり、新しい何かに挑戦したり、と考えたことは本当に数える程しかなく、昔の自分が恥ずかしくなりました。
ただ、今だからこそ一つ言えることは自分の納得のいく未来は、自分が本当に好きだと思うこと、関心を持って続けられることを追い続けることなのではないか、ということです。もしも、自分の関心がまだわからないのであれば、少しでも面白いと感じたことにたくさんチャレンジすることです。そのうちに、自分の本当の「興味」や「夢」も見えてくるはずだと感じています。
今回のジョブシャドウィングは自分の「興味」を行動に移した一つ、として参加者のみなさまが自分を見つめ直すきっかけにして頂ければ幸いです。
私自身もそんなみなさまのことをできる限りサポートさせていただきたいと思っております!
今後ともNPO法人JUKEをよろしくお願い致します。
文責:山本かおり(慶應義塾大学2年)
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聖光学院高等学校
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